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運行管理者って機能してるの?重大事故との関係について

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知床半島の観光船で、事故(乗務員2人・乗客24人)が発生してしまいました。過去にも多くの痛ましい重大事故はあります。どうしてこの様な事が繰り返されてしまうのか、陸上の運行管理はどうなっているのかを、現在大型運転手をしている目線から、考えてみたいと思います。

私も過去に、乗用車の居眠り運転(深夜まで商談しての帰り道)による、正面衝突事故(早朝4時頃)をうけた経験があります。このブログを通して、その事故が起きた要因を考えながら、事故防止に役立つ話が出来ればと思います。

ニュースで重大事故が起こるたびに、当時の自分を重ねてしまい、明日は我が身と思いながら運転しています。以前の記事で過労運転の話をしましたが、会社と運行管理者とドライバーが協力して、運行計画を作成出来る仕組が、大事だと感じています。

そして、重大事故が起こるたびに、運行管理者とか安全管理の話が出ます。会社は重大事故を発生させないために、安全に運行させる義務があると思います。この辺も理想と現実について深堀したいと思います。

この記事が気になった方は、記事の続きをどうぞ!そうでない方も、立ち寄って頂けると重大事故が起きてしまう要因が、分かってもらえると思います。運行管理の資格は持っていませんが、ドライバーから見える現実を踏まえて考えてみたいと思います。

運行管理者とは

運送業界には、ドライバーの安全管理や業務の時間管理など、多岐にわたる内容を把握した運行管理者と言う人がいます。運行管理者の人柄なんですけど、般若のようなタイプと観音様のようなタイプに分かれていますね。時に厳しく時に穏やかに・・・そんな感じで指導してますよ。w

この運行管理者になるには、運行管理制度により会社などで配置が義務付けられている、国家資格の取得が必要なんです。運行管理者に選任された場合、ドライバーの疲労や健康状態を把握し、安全な運行を実現するための指導を行う必要があるんです。

また、ドライバーによる居眠り運転や過労の他、持病の発作などが原因による事故を防止するためにも、運行管理者は重要な役割を担っています。

門番のような存在の人なので、運送業務の要でとても重要なポジションなんです。ところが・・・理想と現実にギャップがあり、かなり四苦八苦してるのが実情ですかね。

注)この記事での運行管理者とは貨物自動車運送事業に限定します。

理想と現実はどうなのか?

運行管理の理想とは

運行管理者は事故を防ぐために何を重視しているのか?(今回は過労のもととなる要因として、以下の1〜3に注目しました。)
注)詳細は運行管理規制を参照してください。

  1. 長時間労働にならないようにする事
    基準労働時間内にするための、配車管理をしなければならない。
  2. 過労運転にならないようにする事
    長時間労働にならないように、ドライバーのローテーションを考慮した、配車管理をしなければならない。
  3. 適切な休憩時間と休息時間(休日)をあたえる事
    運行中は適切な休憩時間(4時間以内に30分以上)をとるように指導する。
    トラックドライバーの休日には明確な決まりがあり、 原則は1日の休息時間(最低8時間以上)に24時間を合わせたものが休日とされているため、少ない場合でも運行開始まで32時間以上空ける配車を組み休日を確保する。
ポイント

過労状態にならないような運行にするため、適切な労働時間や人員配置をして、さらに休憩と休日も考慮した管理が求められています。

ドライバーの現実とは

ドライバーから見た運行管理者の理想が現実にはどうなのか?今から検証してみますが、理想に近いのか?それとも遠いのか?結果はどんな感じになりますかね・・・。

1.長時間労働にならないようにする事はどうなのか?

基準労働時間内での運行管理が求められていますが、現実はかなり厳しいと考えます。今までの経験上、平均10時間以上拘束時間がありました。現在でも早朝5時から夕方は16時〜17時位が平均時間になっているので、拘束時間は11〜12時間になってる事からも厳しいです。

拘束時間が長時間になる理由ですが、早朝の配達が終わり翌日分の製品積置き(トラックに積んで車庫に帰る。)をするので、どうしても待ち時間が出来てしまうからなんです。労働時間が長くなるからと会社にもいってますが、荷主の指示通り作業してくださいと言われています。

なので、ドライバーは労働時間の管理は一切出来ません。会社と荷主で解決策を検討してもらわないと、残念ながら長時間労働はなくなりません。

2.過労運転にならないようにする事はどうなのか?

ルート配送(扱う荷物も固定で配送先も固定)と一般配送(日によって扱う荷物が違い配送先もバラバラ)では、交代要員のドライバーをローテーションする事が出来ていれば、過労運転にならないような配車は組めます。しかし現実は、事前に休む事が分かっている場合などのみ、かろうじて出来ている状態なので厳しいです。

もし改善をするならば、常時交代要員の配置が不可欠だと思います。しかし、人件費がかかり難しのではないかと考えます。現実の話ですが、退職した先輩方を再雇用(年金支給の範囲内で同じ仕事をさせている。)して、人件費の削減を図っているので余剰人員など考えられません。ですので、過労運転のリスクも減らせるか疑問です。

3.適切な休憩時間と休息時間(休日)をあたえる事はどうなのか?

休憩時間についてはどうか?

運行管理者から運行中は適切な休憩時間(4時間以内に30分以上)をとるように指導されていますが、納品に時間指定等があると間に合わなくなる事があるため、守れない事もあります。

また、現在担当している仕事ではありませんが、海上コンテナなどの業務では一度待機レーンなどに並ぶと、積み込みするまで常に車列が移動するため、渋滞の列が長くなると指定された休憩時間に対応する事が出来ません。

業務内容の違いもありますが、運転者任せになってしまう側面があるので、多少無理があるかもしれません。

休息時間(休日)についてはどうか?

原則1日の休息時間は(8時間+24時間=32時間)以上を休日として設定されています。
トラック運転手の労働時間の改善基準ポイントより いかなる場合であっても、休息時間が30時間を下回ってはなりません。

一運行の長距離輸送の場合などは厳しい状況であると推察できます。なぜか?私が以前やっていた業務ですが、中小企業や個人経営の長距離ドライバーは、基本的に車中泊が当たり前のように行われています。拘束時間の取り方によって守れなくなる恐れがあります。

拘束時間の規定(トラック運転手の労働時間の改善基準ポイント)なども、考えた配車計画をしないと違反になる事もありそうなので、これも厳しい状況になりそうです。

理想と現実を踏まえた結果

冒頭に「乗用車の居眠り運転による、正面衝突の事故を受けた事があります。」と言いましたが、この時の事故原因は、相手の乗用車が帰宅途中に起こした、居眠り運転の事故でした。これが逆の立場で対向車線に飛び出して、乗用車に突っ込んでいたらと考えると「ゾッ」とします。

実際この頃は、以前の記事にも書きましたが、居眠り運転をしていた事があるので、運行管理者が疲労になる要因を減らしていく事を考えて、ドライバーが安全に運行が出来る配車業務に心がける必要があると考えました。しかし、ドライバーから見た現実を考えると、必ずしも運行管理者の理想とは程遠いと感じています。

運行管理制度って機能してますか?

なぜそう思うのか?運行管理者も結局会社に雇われているからです。運行管理制度では、会社に対して改善する事を要求する事が出来ますが、現実の話として家族を養う立場だったり、生活を懸けてまで会社に強く言えると思いますか?実際は言えないと思います・・・。

それと、運送会社は中小企業や個人経営の比率が多い事から、なおさら難しいと思います。なぜなら、「気に入らないなら辞めてもらって結構です」と言う業界なので・・・残念です。

運行管理制度は素晴らしいと思いますが、本気でやるなら社外から運行管理者を派遣される制度にして、罰則規定も導入すべきだと思います。そうしないと、改善案など会社が本気で受け入れると思えません。

重大事故との関係について

運行管理者が会社に雇われている以上、無理な配車はおそらく無くならないと思います。会社も重大事故を減らしたいのであれば、荷主に対して運賃の値上げなど積極的に行い、ドライバーの地位向上を目指す努力が必要だと思います。

その事で労働条件が改善され、ドラーバーを増員してローテーションに余裕が出来れば、事故防止にもつながると思います。そして、中小企業や個人経営であっても、運賃のダンピングをしない努力が必要だと思います。

現状では、悪循環になっていると感じます。他社を出し抜いてでも仕事が欲しいからと行う賃のダンピングは、会社とドライバーに全くメリットもがありません。なので、もう少し経営者側もドライバーの気持ちに寄り添った環境作りに尽力してもらう事で、共存して行く事を目指した経営をして頂きたいです。

まとめ

運行管理者の理想とドライバーの現実を踏まえた結論ですが、運行管理制度はとても素晴らしい制度だと思います。しかし、現実には制度内容がしっかり機能してるのか疑問が残る結果になりました。

運行管理者が会社に雇われている以上、うまく機能してるか疑問が残る結果だと思います。そして、理想と現実には難しい問題が山積み状態だと分かりました。以前の記事で2024年問題にも触れていますが、早急の対策が必要ですね。

この結果を踏まえると、重大事故を防止するためには、「会社・運行管理者・ドライバー」が協力する事で、理想の安全運行が出来ると思います。どれかが欠けてもダメです。理想に近づける事は容易ではないと思いますが、みんなで同じところを目指せば出来ると信じたいです。